「勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門」、を読みました。
タイトルの通りですが、行動経済学の本です。あんまり行動経済学に詳しくなかったんですが、これはスラスラ入ってきてわかりやすかったです。内容の多くがハウスフライ効果に関する本です。男性用の小便器にハエの絵を書くと、そこに狙って小便をするので便器の外に尿が飛び散る量が減った、というやつです。
結構ボリューミーな内容でたくさんのノウハウが書かれているので、一回読んだだけですべてを理解することは難しいです。なんとか効果、というのがたくさん出てきて覚えられない。ただ、「そんなアホな」と思ってしまうような行動がいくつか書かれていました。
プラシーボとかは前々から知られている話ですし、ナッジとかも最近流行りですもんね。認知バイアスそんな感じの話がてんこもりです。また、診断士の勉強をする中で「あーそういうことだったのね」と思うこともたくさんありました。例えばゴールデンゾーンの話。もともとはポテトチップスの売り場の高さを下の方から真ん中へ移動しただけで特別なマーケティングしなくても爆売れしたというもの。あれ、これがきっかけって知ってた?ワイもそら知識としては知ってたけど、こんな実験の結果だって知らなかった。
人間の先入観とか勘違いって、ほんと生活の中のいろいろなところで現れるものだなと思いました。マーケティングとか営業の世界の人たちはこういうふうなことを当然に考えているのだなと思うと怖くなりますね。知らない間に騙されるというか、いいように使われているのだと思うと無知は罪だなと思います。
詳しく内容を書いてしまうのはアレなので、特に記憶の残った箇所を箇条書きにしていきます。
- 人は必ずしも思い通りに行動していない
- 人は、小さな手間を避けるためにならどんなことでもする
- 人はいつもと違う何かをするのが面倒
- 相手にめんどくさいと思わせたらダメ
- 大量の情報は注意の欠乏をもたらす
- 選択肢は提示してほしいが選びたくない
- 人は何かを失う時、同じものを手に入れるより大きなショックを感じる
- 人は一旦手に入れたものに高い価値を感じる
- 選ばれなかった選択肢を恐れる
- 仲間はずれを避けるなら自分の意見も曲げる
- 自分よりも他人が気に入るものにイイネする
- 未来よりも今目の前の報酬が大事
- お金がない時に人は頭が悪くなる
- 完璧より玉に瑕が好まれる
- 事前にお金を受け取ったほうが良い成果が出せる
などなど、とっても面白かったです。
すぐに活かせそうなものもいくつもありますね。やっぱマーケティングの分野になるのかな。個人的に一番おもしろかったのは「お金がない時に人は頭が悪くなる」
また、
これほんとそのまま書いてあるんですが、貧困はいろんな要因の選択の結果ではなく、誤った行動をする原因なんだとか。おもしろいね。まさに貧困が貧困を生むわけだ。
あとは「完璧より玉に瑕が好まれる事前にお金を受け取ったほうが良い成果が出せる」ね。がんばったご褒美をあとで買う人って結構多いと思うけど、ワイは断然前払い派なんだよなあ。っていうか、同じモノを前に買うか後で買うかなら、金銭的余裕に問題なければ後っていう選択肢ないと思うんだけど。早く買えばそれだけ長く使えるわけだし。ま、ワイの場合はご褒美がモチベーションにはならねーんですが。
これらの説があるのであればオオタニさんの今回の契約すごいよね。
お金は全部後回しだし、目の前の報酬ではなくて未来の報酬にするわけだし。でもそんな細かい人間の意識なんか超越しても勝ちたいっていう気持ちが勝ったわけなんだね。思いの強い人間にはどんな理論も成り立たねえな。
あとですね、私外国人が書いた本ってあんまり頭に入ってこないんです。なんかノリがついていけないんですよね。でもこの本、注釈とか含めすごい面白かったです。
本当に行動経済学の基礎なので、仕事のために勉強になる~とかではなくて、気軽に読める読み物としてもおすすめの本でした。432ページあるのですが、全然そんなページ数に感じないほどスラスラあっという間に読み終わりました。
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