発売されたばかりですのでネタバレはできるだけ避けています。
池井戸潤の新作、アルルカンと道化師を読みました。おもしろかったです。
直近に読んだ池井戸潤の作品がノーサイド・ゲーム、その前がルーズヴェルト・ゲームでしたが、どちらもドラマ化された割には個人的に原作がいまいち面白いとは思いませんでした。
どちらも半沢直樹シリーズと同様、主人公が苦境に立たされ、そこから大逆転という大まかなストーリー自体は同じなのですが、話が深くないというか、それぞれラグビーと野球が、経営的苦難と有機的に混じり合っているかというとそうでもなく、なんかどっちつかずになっていたなという印象です。読み終わった時にイマイチすっきりしなかったんですよね。
安心と信頼の半沢直樹
東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとにとある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版社・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とは――。
講談社HP https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000339124
アルルカンと道化師は半沢直樹シリーズの第5作です。半沢直樹の第一作「オレたちバブル入行組」の半年ほど前の話で、半沢直樹が大阪西支店の融資課長だったころのお話です。ということはドラマにも出てきた浅野支店長の他、あんな人やこんな人も出てくるわけです。これはもうドラマから入った人も大満足ですね。
本作は出版社を舞台に銀行が行う強引な買収工作と戦う、というお話です。つまりまた敵は銀行内なわけです。ということは第1作~第4作と同じわけです。大まかな流れは同じなのですが一気に読んで最後はスカッとするいつもの半沢直樹なのです。
今までと同じで良かった!と思いますし、池井戸潤に求めてるのはこれだよ!という感じで私としても大満足でした。
日本人は勧善懲悪が好き
日本人は勧善懲悪的な話が老若男女問わず好きですね。古くは水戸黄門、遠山の金さん、アンパンマン、そして半沢直樹。話はコテコテで毎回同じでもいいのです、同じパターンでも最後に悪を倒せば満足なんです、日本人は。
今やってるドラマだって、もう皆さん最後はどうなるか予想できていると思います。その予想通りになるかどうかは今週と来週の最終回を楽しみにするとして。ドラマは濃ゆい出演者の多彩な芸(主に顔芸や顔芸ですが)により盛り上がっている部分もありますが、このあと敵がどのように倒されるのかを楽しみにされている面も高視聴率であるところにつながっているのでしょう。
ルーズヴェルト・ゲームやノーサイドゲームも、たしかに勧善懲悪的なところはあります。早々と「あ、こいつが敵やな」というものはあります。しかしこの敵もそこまで悪なわけではないのです。半沢直樹シリーズに出てくる敵と比べるとね。敵というかライバル企業だったりするので。そのあたりがいまいち面白いと思わなかった理由ですかね。
池井戸潤も、半沢直樹以外のシリーズでも個人的におもしろかった本はあるのですよ。それは敵も出てこない経済小説的な話だったのですが。高度な専門性を活かした金融業界や経営のドロドロした池井戸潤の話を読みたいなと思いますね。
まとめ
今は読むべき課題本がたくさんあり、なかなか小説を読む時間がないのですが、まとめて一気に読みましたが大満足でした。池井戸潤は半沢直樹シリーズをもう一回1から読み直したいですし、まだ読んでない陸王や下町ロケットも読みたいとは思っています。
ドラマも盛り上がっている中、今回のアルルカンと道化師もハズレ無しのオススメ作品です。
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