表題の本、本屋でみて気になってて、調べたら図書館でもすぐ借りれることがわかったので借りて読みました。結果、これ家に一冊あってもいいなと思いました。
IT投資とは
経営に必須のIT投資とは何か、から投資額の算定手段、投資効果の評価方法と、うっすらと誰もが意識していることをわかりやすく説明されています。投資にあたっては効果測定することがIT投資に限らず必要ですが、IT投資をした企業のうち約4割が事後効果測定を行っていないのだとか。効果測定を行わないとその投資がどうであったのかの評価はできません。
様々なITに関する投資、コストの種類、クラウドのコスト算定方法等、細かく書かれています。
おなじみのNPVやIRR、DCF法や回収期間法が実例とともに紹介されており、診断士の勉強をした方ならすんなり頭に入ってくる内容です。
IT-BSCによる評価測定
個人的に一番おもしろかったのはIT-BSC(バランススコアカード)による非財務的手法での評価の測定です。BSCって診断士試験でもあまりしっかり出題されないので、名前と概要くらいしか知りませんでした。本書ではモデル例にしたがってIT-BSCの投資評価の作業ステップを示し
STEP1:戦略マップの作成
STEP2:戦略マップへの目標値設定
STEP3:IT支援マップの作成
STEP4:プロジェクト目標記述書の作成
STEP5:業績評価表の作成
STEP6:事後評価の実施
を説明します。この中で重要成功要因(CSF)と業績評価指標(KPI)を絡めていきます。これらはIT投資に限らず投資評価するのに使えそうな話かと思いました。BSCの各視点で、投資から効果までの多段階の因果関係を可視化し、評価尺度を適切に設定できるため、今までこのような視点が抜けていた自分にはまさに目からウロコでした。
事例研究
大型のシステム投資からソーシャルメディア、モバイル投資といった小規模のとうしまで、様々な事例の掲載されています。また開発プロジェクトについては1章使ってしっかりとした説明があります。またベンダーの見積妥当性評価の章もあり、FP法、RFPといった情報の科目にも出そうな用語(免除したから勉強すらしてないからしらんけど)の具体例も示されており、ただの教科書ではなくより具体的なイメージがつかめる内容でした。
まとめ
IT投資、と書いてあるだけにIT投資とその評価についての内容がメインとはなりますが、投資に対する考え方や評価方法、事後評価の考えというのはIT投資に限らず使えそうな話でした。決してITに詳しい人でないと読めないわけではなく、むしろ発注する側向けの本かと思います。
他の本等でも見ましたが、投資にあたっては効果を正しくできない投資とは言えない。そのことを再認識し、効果をどのように図るのか、勉強になりました。
「図解即戦力」、「必須の知識が全部わかる」の表記に偽りはありません。
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