財務・会計の苦手意識の理由

中小企業診断士試験

初学者を中心に財務・会計が苦手だという話をよく聞きます。私も当初は苦手意識がありましたが、結果的には安定して高得点を取ることができ、事例4でも大幅に加点があり合格の要因ともなりました。なぜ苦手な人が多いのかその理由と対策を考えてみました。

数字が苦手

このパターンが非常に多いです。学生のころから数字が苦手だったと。経済学が苦手な理由としても数字が読めないグラフが読めないという理由をよく聞きます。ですが経済学も財務・会計もそんなに難しい数学の知識は問われません。経済学ですこーーーーーしだけ微分の概念がでてきますがその他は四則演算と分数の計算、一次関数と二次関数、連立方程式と確率くらいです。世の中の一般の中学生でも普通にこなすレベルなので、誤解を恐れずに言うならこの程度で数字が苦手だなんてただの言い訳です。ただの思い込みとも言えます。

確かに社会に出たら手を使って計算する機会なんてほとんどありません。電卓やエクセルでぱぱっとできてしまいますが、一次試験は手計算で解ける問題しか出題されません。また、苦手、嫌いだからあんまり勉強していないという話もよく聞きます。当然ですがそのままでは苦手を克服できるわけがありません。苦手だと言い訳する前に少し数字と向き合ってみたらいかがでしょうか?

事例4の対策では毎日の計算練習が必要です。解けば解くほど力がついて安定して得点を重ねることができます。数字が苦手という理由だけで勉強に取り組まないのは大変もったいないです。まずは思い込みから止めてみましょう。

そもそも財務・会計が何なのか理解していない

普段、経理や経営管理の業務と縁がなかったりして財務・会計の科目が何のために必要なのかそもそも理解していないのではないでしょうか?中小企業診断士第1次試験案内には下記のように科目設置の目的が記載されています。

財務・会計に関する知識は企業経営の基本であり、また企業の現状把握や問題点の抽出において、財務諸表
等による経営分析は重要な手法となる。また、今後、中小企業が資本市場から資金を調達したり、成長戦略の
一環として他社の買収等を行うケースが増大することが考えられることから、割引キャッシュフローの手法を
活用した投資評価や、企業価値の算定等に関する知識を身につける必要もある。

https://www.j-smeca.jp/attach/test/r02/r02_1ji_annai.pdf

企業経営の基本と書かれていますね。ちなみにWikipediaの財務会計の欄にはこのように記載されています。

財務諸表を核とする会計情報を、企業外部の利害関係者(株主、債権者、徴税当局など)に対して提供することを目的とする会計である。経営者や企業内部の管理者に対する情報提供を目的とする管理会計とは内容が大きく異なる。
企業外部には様々な利害関係者が存在するが、その中でも株主と債権者は企業の存続と成長に不可欠な資金を提供している。このため、財務会計の主たる目的は株主と債権者に対する会計情報の提供といえる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A1%E5%8B%99%E4%BC%9A%E8%A8%88

ざっくり言うのであれば
財務会計:企業外部の利害関係者への情報提供するための会計(社外向け)
管理会計:意思決定や業績評価に役立てるための会計(社内向け)
です。社内外に情報公開や様々な意思決定を行うために必要な数字です。会社経営のすべての基礎の基礎となる科目なのです。

ではどうすればいいのか?

これらの基礎となるのが「貸借対照表(B/S)」、「損益計算書(P/L)」に加え「キャッシュフロー計算書(C/F)」の財務三表です。BSとPLを読み解いての財務指標分析は事例4で必ず出題されます。キャッシュフロー計算書についても出題頻度が高いです。財務三表についてはこちらの本がとても詳しいです。診断士界隈では有名かもしれません。

このブログでは論点についての概要以上の説明はほとんど行わないのでこちらの本を読んでみてください。この本を一冊理解すれば財務諸表の基礎が学べ、それが財務・会計の科目のさまざまなところにつながってくることがイメージできます。すると苦手意識なんかなくなってしまいます。

この本に加えて財務。会計アレルギーを克服するのに有効なのが簿記の勉強です。「中小企業診断士を取るのに簿記なんかいらない派」も多いですが、私は基礎が体系的に学べる二級までしっかり学習する価値はあると思っています。何より私自身が一次試験不合格後に簿記二級の取得を目指したところ財務・会計に対する苦手意識がなくなり得点源とできたことや、簿記二級の出題範囲がどんどん変わってきており、これが中小企業診断士の財務・会計の科目とも直結するからです。

わざわざ簿記から入る必要もありませんが、一次試験不合格のあとにやることがないのであれば簿記二級の受験はとても有効な対応策と言えます。試験のためだけでなく、試験合格後の活動まで見据えると一切無駄なところはありません。

増補改訂 財務3表一体理解法を読んだり、簿記の勉強をしたあとに中小企業診断士の財務・会計の勉強に戻ると、いろいろな点がつながっておもしろくなってきますよ。

さいごに

財務・会計の苦手意識と対応策について書きました。「苦手意識」については今日明日でどうにか克服できるものではありませんが「苦手のつもり」という思い込みは今すぐにでも消し去ることができます。必要な計算自体は中学生レベル、あとは基本さえ固めてしまえばいろいろな論点がつながってくるのでおもしろくなってくるのが財務・会計です。

また、どの会社においても絶対必要なのが財務会計の知識です。財務会計が苦手、なんて言っていると二次試験の事例4、合格後の実務補習でも苦労するので良いことなんか一つもありません。まずは思い込みをやめて、基礎から順番に学習してみましょう。

苦手だというのは「これだけやった、でも無理なんだ!」と自身を持って言えるようになってから言うことです。やってないうちは苦手だなんてただの思いこみです。

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